おばの話

おばは3歳の息子を亡くしている
そして すぐご主人が戦死
大変な時代を生き抜いてきた人だ
大変な時代だから
近所親戚みんなで力を合わせて生き抜いて来た


或る時 結核で死にかけている隣の親戚の娘さんが
おばを呼んでいるという
その娘さんは おばの息子をよくかわいがってくれていた


おばが行くとこう言ったそうだ
「そこに川があるやろ
その向こうでT(息子の名前)くんが
手招きしてるんよ
でね 私が死んだら
棺にたくさん食べ物を入れてね
私が食べるんじゃないよ
Tくんに食べさせてやりたいから」


そう言って娘さんは亡くなったらしい
時代が時代で棺桶には
たいしたものは入れてやれなかったと
おばは涙目で語っていた


いまも
大変な時代なんだけど
昔とは意味が違う
変な人がたくさんいる時代
天変地異が起こらないほうが
ふしぎな時代


さあさ乗り越えましょうね