間違えた

出かけたのは今日だった


頭の中でリピートする
ぼくにとって一番しんどい事件
3歳の男の子の餓死事件


何日も食事をとらなかった男の子
玄関のドアが開いてお父さんの顔が見えた
うれしそうに「パパ」とかけよろうとすると
おびえたような顔をして
お父さんはバタンとドアを閉めた
そしてドアは二度と開かなかった


離婚された若い父親は
いろいろな迷い道に入り込み
深い穴に落ち込んだ


誰も責める気にならない
ただただ むなしくなる


最後の希望が絶望を強化した


運転していると
ときどき この話が頭の中を
かけめぐる
子どもの悲しみも
父親の悲しみも


気分を変えなければと思い
もうひとつの話を思い出す


ブスな女の人に
イケメンの彼氏ができて
婚約の運びになった
デートの食事のとき
女の人は思い切って聞いてみた
「ねえ わたしのどこが好き?」
彼氏は答えた
「顔以外ぜんぶ好き」


ぼくはうれし涙がボーロボロ
むなしさとせつなさといとおしさと
いろんなことがあって人生