腰抜け男爵

みんな おとなになっていく
スピードばらばらは当然のことながら
気づけば自分だけ超スローペース
かさぶたができたときの
はぎかたに似ている気がする
乳歯がぐらついたときと同じ


魂は一生かけても
そう変わらないわけで
あとは覚悟の問題
わかっていても
そこがむつかしい


ひっぺがすと痛いけど
あとはツルリンとなる
わかっているんだが
臆病とか見栄とか将来への不安とかが
妙な粘着力となって
ウジウジマンを作りだす


YouTubeで見たが
悩める女性が覚者に尋ねる
「わたしは、いったいだれなんでしょう?」
そうして 泣きじゃくるのだが
しばらくして 笑いがとまらなくなる
そのうち 覚者も笑い出す


もっと偉いはずの自分が存在すると
潜在意識で感じているひとが
現実とのギャップや
いまの不遇な状況を他者のせいにして
悩みが生じる


ふと等身大の自分に気づいたとき
いま ここに在ることの幸福感に満たされ
さっきまでの自分や小さな悩みを笑い飛ばす


やっと はいだと思ったら
すぐに新しいかさぶたできるからタノチ
みんな かさぶただらけのとこから
姿さらして教えてくれる
鏡よかがみよ かがみさん
ひとりで がんばる必要なし